ステビア

埋もれていく日常とか

2016.4.6

2016年4月8日。一つの訃報に触れた。
shepherdというバンドのボーカルが亡くなったと。




嘘だと思った。悪い冗談だと思った。エイプリルフールはとっくに終わったのに。信じたくなくて、時間が経っても過去形で語れなくて。twitter上にはご冥福をとか安らかにとかそんな言葉ばかりが並んでるのがやりきれない。皆一瞬で思い出に切り替えてしまうの?
誰か嘘だって言ってよ。

泣いたってどうしようもないのにひたすら泣いて。何度見たって変わらないのにHP上のお知らせを繰り返し見つめた。


ライブには都合がつけば行っていたし、行かない選択をしたライブもあった。それは全く後悔していないけど、shepherdの音楽のこと、もっと言葉にして伝えたかった。中野さんとは同世代なせいか聴いてた音楽が似ていて、それが嬉しくて物販ではやたら他の音楽のことを聞いてしまった。twitterでもライブの感想とかあまり具体的なことは書いてこなかった。
伝えておけば良かった。



shepherdに出会ったのは2011年のROCK IN JAPANのウイングテント。初めて見たけどこちらにも緊張感が伝わってくるステージだったのを覚えてる。でも3曲目に演奏したSea Side Psychedeliaがすごく好みで。帰ってすぐに次のライブを調べた。

次のライブ。あれは確かvijonだった。
新曲だと言って中野さんがironyを歌い出した瞬間、世界は止まった。
あの瞬間に私は中野さんの歌声の虜になった。
タカトさんのギターもとても好きだと思った。少し感傷的なフレーズが中野さんの歌声にとても合っていると思った。

あの時買ったnudeに入っていたprimroseが私の中ではshepherdのイメージそのもので。春霞のような、まだ寒い春の木漏れ日のような。


あの頃shepherdは月1のペースで大阪に来てくれていて、それが何だか縁なのかなぁとも思えて嬉しかったり。
中野さんは最初に覚えてくれて、話しているとたまにとてもいい笑顔をくれて。笑うと少年みたいな顔になる人、相手を良く見てから喋る人なんだなという印象だった。考え方も素敵だなと思っていて、本当ただのファンだったので過剰反応しすぎて最近はうるさがられていたかもとも思う。でも、それももはやわからない。


仲本さんが抜けると決まった時どうしようもないこととはいえ、本当に悲しかった。でもshepherdから離れようとは思わなかった。
どんな音楽に変わっていくのだろうとドキドキしたけど、パズルを聴いてライブを見てああ、素敵な音だって。


それからMirrorが発売されて。聴いた時、曲はものすごく好きだと思ったけれど演奏が少しガチャガチャした印象だなと思った。あれ?shepherdはバランスが良いところも好きだったのになって。でもこれも言わなかった。言えば良かったかな。

そしてタカトさんが抜けると発表された。「まさか」というより「そうなるのか」と感じたのが悲しい。中野さんの歌と同じぐらいタカトさんのギターが好きで、ライブではいつも笑顔をもらってた。抜けちゃったらどうなるんだろうって不安で。。それでも、やっぱり私はshepherdは応援し続けるだろうなって。そう思っていて。


でもタカトさんが抜けた後2回ほど見たライブは楽しめなかった。最初見たときは泣いてしまって、そのまま泣きながら帰った。別に誰が悪いとかライブが良くなかったとかじゃない。あまりに喪失感がすごくて。知らず知らずあのギターの音色を探してしまう自分の気持ちの問題。
もう一度ミナホで見たとき、少しライブに行くのはお休みしようと決めた。動揺して何を演奏したのかもあまり覚えていなかったから。
それはメンバーにも失礼だと思った。ちょっと距離を置いて、冷静になってから新しいshepherdを見ようと。


だから最近は全く見る機会がなかったし、ライブに行ってもないのに話しかけるのもアレかなと思ってtwitterでも反応しなかった。でも新譜は買うつもりでワクワクしていたし、ツアーがあったらこっそりお邪魔しようとか考えていた。


そんな矢先だった。


もうこの言葉たちを伝える術もない。
伝えることができない。
どんなにあなたの歌に支えられたかと伝えたかった。
幸せの蒼い海での歌詞に自分を重ね合わせていた。
言わなかったけれど私も再生回数、ライブで聴いてみたかった。
部屋と二人のツアーの分別の演奏は素晴らしかった。
密かに自分の結婚式でHappy endrollを流したいと思ってた。
また笑顔でshepherdを見れる日を待ってた。
いっぱいいっぱい、伝えておけば良かった。


例え自分がshepherdから離れてしまう未来だったとしても、そんな未来でも欲しかった。


人は楽しかった記憶も悲しかった記憶もどんどん忘れていく。それがとても辛い。もらった言葉も音楽も決して忘れはしないけど、今この時の辛い気持ちはきっと忘れてしまう。こんなブログなんか書いて心の整理をして、私は自分の時間を生きてしまうんだ。


全てが嘘だったらいいのに。